NHKBSPの体感!グレートネイチャーで、オーストラリア東部の火山帯が紹介されていました。全然知らなかったので、メモしておきます。
「超高速 大陸移動がつくる絶景〜オーストラリア〜」
鮮やかなピンク色に輝く湖。どこまでも続く真っ赤な大地。青空を映し出す白亜の湖。こうした独特の景観を作り出したのは、1億年あまり前に超大陸から分裂し、年間7センチという猛スピードで北上を続けるオーストラリア大陸。世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフが生まれたのも、大陸移動とともに火山噴火が発生した、偶然の産物という。海岸に並ぶ奇岩地帯、十二使徒や鮮やかなカルデラ湖など奇跡の絶景を訪ねる。
北上するオーストラリア大陸
かつてオーストラリア大陸は、パンゲアと呼ばれる巨大な超大陸の一部でした。約1億年前にパンゲアの南半分にあたるゴンドワナより分裂したとされます。
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/quest/20150212/
分裂した他の大陸は、アフリカや南極の大陸となりました。オーストラリア大陸はそれらから離れ、現在もインド・オーストラリアプレートの動きに合わせて北上しています。その速度は年に7cmと言われています。
南北に連なる火山群
番組ではあまり紹介しませんでしたが、実はオーストラリア東部のグレートディバイディング山脈に沿って、多くの火山地形が分布しています。といっても、とっくに活動を終えた”死火山”です。火山群は北へ行くほどほど古く、南ほど新しいという特徴があります。
これらの火山はアルカリ成分に富む溶岩で、マントルプルーム上昇とホットスポットによる火山活動で形成されたことを示しているそうです。こうした活動は大陸から東の海底でも起きていたようで、GoogleMapでみると、海底にそれらしい海山列が2つ、平行に並んでいるのが分かります。
地表や海底にできた火山は、プレートの移動にともなって北上します。しかし、ホットスポットの位置は変わりません。すると、既存の火山ではマグマの通り道が切られてしまいます。そして、その南に新たなマグマの経路がつくられ、新しい火山が形成されるのです。長い年月を経て、このような火山群(列)を作り出しました。
こうした例は、ハワイ諸島やその北にある天皇海山列でもみられます。西へ移動する太平洋プレートの方向に、火山列が伸びています。もっとも新しい(活発な)のは最東端のハワイ島です。
二千数百万年前のホットスポット火山
番組では「大陸の移動を体感できる場所」として、ホットスポットで出来た2つの火山を紹介していました。まず訪れたのは、クイーンズランド州のグラス・ハウス・マウンテンズです。
この地域に点在する小山は、2700万年前のマグマ貫入によって作られたといいます。この山の岩石は、粘り気の多いマグマが比較的早く冷え固まってできる、トラカイト(粗面岩)とライオライト(流紋岩)と呼ばれる火山岩だそうです。トラカイトはアルカリ成分の多い、デイサイト質の火山岩とされます。
次に訪れたのは、グラスハウスマウンテンズから南へ210km、マウント・ワーニング(1157m)です。番組によると、こちらもトラカイトやライオライトが見られるんだとか。
いろいろと調べると、マウント・ワーニングは2400万年前、標高2000mの楯状火山だったようです。活動を休止したあと、風化や侵食により半分の高さに削られて、直径40kmの侵食カルデラを形成しました。これは南半球最大といわれています。
ふつう楯状火山は、粘り気の少ない玄武岩マグマでつくられます。ハワイ島のマウナケアもその一つです。玄武岩マグマは時間とともに成分が変わり、デイサイトや流紋岩マグマへ変化します。マウント・ワーニングはかつての火道であり、残液となったマグマが冷えて固まったのでしょう。
次に番組は、南オーストラリア州のマウント・ガンビアへ向かいます。ここには約5000年前のマグマ水蒸気爆発でできた円形の火口湖(マール)があります。青い水を湛え、現在はブルーレイクと呼ばれる観光名所になっています。
オーストラリアでは、同じホットスポットを起源とするマグマでも、様々なスタイルの火山活動がありました。また、日本列島ができるより前の、古い火山地形が見られるのも大変魅力です。侵食隆起の激しい場所では決して見られない光景なので、ぜひ一度足を運んでみたいですね。